言いたいことやまやまです

仕事をやめ、誇りを持って主婦として生きることにした1985年生まれ。金儲け臭ゼロのブログで生きざまを書き綴っています。お金はいつでもほしい。

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あなたのメモはなぜ「すごくない」のか? ―「すごいメモ。」は今すぐ実践できる「仕事わくわく虎の巻」だった!

メモは「過去の記録」ではなく「未来の資産」だ

博報堂のコピーライターとして、日産セレナの「モノより思い出。」などの名コピーを生み出した小西利行さんの、アイデアを生み出すメモテクニックが詰まった本です。(2006年に独立され、現在はクリエイティブ・ディレクター、劇作家、絵本作家としてもご活躍されています)

メモといえば、打合せ中のポイントを書き記したものや、買い物に行く際の買い出しリストを思い出します。つまり、主に活躍するのは「その瞬間」。少し時間がたてばそれは過去のもの、ゴミとなっていきます。

しかし小西さんは、「メモの本当の効果とは、未来の自分に「考えるきっかけ」を与えられること」だと説いています。

従来型のメモが「過去メモ」であるのに対し、この本で紹介されているのは未来の自分に教えるようにメモを取る、「未来メモ」なのです。

目次

あなたのメモを生まれ変わらせる!「未来メモ」化の3つの魔法

未来メモには大きく3種類があります。

  • まとメモ:情報をシンプルにまとめるメモ 
  • つくメモ:アイデアを生み出すメモ
  • つたメモ:「まとメモ」「つくメモ」で生み出した内容をわかりやすく人に伝えるメモ

本の中では、「まとメモ」5種、「つくメモ」5種、「つたメモ」3種の合計13種に加え、作家の伊坂幸太郎さんのメモ術が紹介されています。

ここでは、私が特に惹かれたメモ術をいくつかピックアップしてみます。

「まとメモ」術で、ただのゴミだったメモを資源化できる!

これまでのメモに少し記号を書き添えるだけで、我々の「過去メモ」は「未来メモ」に変身していきます。ただの文字の羅列が、未来の自分へのメッセージ性を持ち始めるのです。

今日から、否、いまからできるメモテクニックが、いちばん初めに紹介されている「3つの○」

打合せに出席しながらしたためた箇条書きのメモのなかで、「今日の重要ポイント(未来の自分にも有益と思われるポイント)」を3つ選んで○をつける、それだけです。「3つだけ」というのがキモで、ラインマーカー引きまくりの「全部重要状態」に陥ることを防いでくれます。(受験勉強中、参考書に暗記ペン引きすぎて墨塗り教科書状態だったことを思い出してちょっとおセンチになりました。これからは3か所までにします)

また、「矢印でつなぐ」というテクニックは慣れが必要そうですが、ひとりブレストにも非常に有効なメモ術だと思いました。思いついたことをバーっとメモに書き出し、項目と項目のつながりが見えたところに矢印を引く、それだけです。「どこから考え始めたらいいかわからない」「アイデアの方向性が見えない」というとき、頭の中に広がる混沌が整理されていきます。

3つの○、矢印以外の記号で整理するテクニックも、シンプルながら便利。小西さんは「VS(競合相手)」「?(疑問点)」「★(特に重要)」「⇔(対立・対比関係)」といった記号を紹介されていましたが、なかでも私が「これ、使いたい!」と思ったのが「○×」というものでした。

この2種は必ずセットで使い、自分の思い込みを軌道修正する際に役立てるのです。本の中では、女性が使用する「カップ付きインナー」が例に出されていました。

×胸がきれいに見えるので、女性にうけている
○胸がラクなので、女性にうけている

という具合です。

重要箇所に○や★をつけながら、「VS」や「○×」などを使って、それぞれを矢印でつなげば、企画の大前提となる情報がまとまりそうです。他部署や外注先との打ち合わせの際には、オリエン資料として大活躍すること間違いなし。

また、ここまでは手書きのメモテクニックでしたが、「デジメモ整理」についても触れられており、これがまた大変参考になりました。小西さんはEvernoteを使用されているとのことなのですが、思いついたことや気になったこと、とにかくぶち込んでおくそうです。

その際のポイントは「未来の自分が”検索”しやすくなる環境づくり」。紙にはできない、デジメモ最大の利点が「検索できること」だからです。大仰に書いてしまいましたが、やることはシンプル。メモのタイトルに、将来の自分が検索しそうなワードでタグ付けしておくだけです。

本から引用すると、「天王洲再開発プロジェクト」のメモであれば、「天王洲」「再開発」「イベント」「都市計画」「アイデア」「重要」「20130127」という単語をタイトルにする。これだけのことですが、確かにこれで検索しやすくなります。

うんうん、これまでの自分の「ゴミメモ」を「資料」化できそうな気がしてきました!

アイデア出しのやる気スイッチ「つくメモ」でYDK(やればできる子)になろう

続いては、アイデアを生み出す際に活躍する「つくメモ」術です。

ちなみに、「まとメモ」に続く2番目の項目として紹介されているので「STEP1=まとメモ」、「(STEP1を応用するものとしての)STEP2=つくメモ」と捉えてしまっていたのですが、「まとメモ」と「つくメモ」はそれぞれ独立したものです。組み合わさることもあるでしょうが、「まとメモ」を活かして「つくメモ」をつくらなければ、と思うと混乱します。別々のものであることを念頭において、またいくつかご紹介します。

さて、ここで紹介されていた「ブラック三角メモ」「ホワイト三角メモ」はすごいですよ、感動もの。

先にメモ図をご覧ください。

すごいメモ。

不満から商品のニーズ(訴求ポイント)を見出す「ブラック三角メモ」は、左側に商品の要素を、右側にお客さんがその商品に対して望むことや不満などを書き記すメモ術。両者の重なりが「隠れ商品ニーズ」というわけです。

本の中では、アパレルブランド「ロペピクニック」の「パチパチしないセーター」が紹介されていました。静電気が気にならないセーターですね。すごく魅力的ですが、確かにこのポイントを全面に推していた広告は、それまで見たことがありません。メモ術で発掘された隠れニーズです。

対する「ホワイト三角メモ」は、ターゲットの嗜好性から隠れニーズを探るメモ術で、イベントやプロモーションの企画の際に活躍します。

本の事例では「銭湯に若い女性を呼び込むアイデア」が紹介されていました。左側には銭湯から連想されることを、右側には若い女性の好きなことをワーッと書き出していきます。両者をつなげてアイデアを生み出すのですが、「ケロリンの桶パンケーキ」「美容液蛇口」「イケメン煙突」なんてものが書き記されていました。

奇抜すぎる、とてもではないけど実現できない…そんなネガティブな感情は横に置いておいて、とにかく楽しんで量産する。実現できるものに仕上げていくのは、量産したあとです。企画のアイデアに「百発百中」はあり得ず、たくさん考えてはじめて、良いアイデアが生まれるのです。

めいっぱい生まれたアイデアを精査するときにも使えそうだと思った「つくメモ」術もご紹介します。「ハードルメモ」というものです。

企画のテーマだけが決まっていて、そのなかで自由に考えるというのは意外と難しい。敢えてハードルをつくり、その範囲の中で考えを巡らせたほうが、よいアイデアが生まれていきます。

ここで言うハードルとは、いまみんなで考える「目的」のことです。たとえば、「30代女性に売れる新商品をつくる」という”テーマ”に留めていると、アイデアは四方八方から湧いてきます。方向性が定まらない。

ここで小西さん提案の魔法のハードル言葉を使います。「それは本当に、○○○するか?」です。

先ほどのテーマを当てはめると、

「それは本当に、30代女性に売れる新商品か?」

になります。量産したアイデアを精査する際、このハードルメモがあれば軸がぶれません。

「つたメモ」を使って、他人も、未来の自分をも魅了しよう

最後は「まとメモ」で整理した情報や「つくメモ」で生み出したアイデアを他人に伝えるための「つたメモ」術。

「他人」と書きましたが、ここには「未来の自分」も含まれると思います。他人に理解してもらうことも大事ですが、この本で大切にしているのは「未来メモ」という機能。いま考えている問題から離れ、関心が薄くなってしまった未来の自分が読み返したくなるような、そんなメモをつくるテクニックが紹介されています。

わかりやすいところでは「見出しメモ」。その名のとおり、メモにヤフトピ的な見出しをつけるのです。そこまでいかずとも、「メモ年月日+クライアントと内容+打合せメンバー」を最初に書き記しておくだけでもいいそう。確かに、それだけでいろいろなことを思い出せるようになりそうです。

未来の自分が楽しめるように、そこに会議での名言、発見などを加えるのも効果的で、「部長、打合せで机たたく」といった気軽なノリでよいみたいです。「楽しんで見出しをつける」ことが大切なのでしょうね。

目から鱗だったのは「スピーチメモ」。スピーチって、多くの場合興味を惹かれませんよね。校長のありがたいお言葉とか。

つまり、興味を持ってもらえるような話し方をすればいい、ということです。小西さんは、そのヒントが「書籍のタイトル」にあると紹介されています。書籍というのは、興味のない人に興味を持ってもらうための技術が盛り込まれているからです。

「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」に代表される疑問形、「君はフェルメールを見たか?」のような呼応型、具体的な数字を挙げる「七つの習慣」的なもの、「○○力」「東大生だけが知っている○○」「○○になるためのたったひとつの方法」…ついつい本屋さんで手に取ってしまった本、ありますよね。挙げだしたらたくさんあります。

これをスピーチに応用すればいいのです。ちょっとコツが要りそうで、私はまだ自分の中に落とし込めていないのですが。

本の中では「ノームコア」という言葉をテーマにしたスピーチ骨子が紹介されていました。

  • 君は、「ノームコア」を知っているか?
  • なぜ、「ノームコア」は、売れるのか?
  • 「ノームコア」の好意度は9割
  • 「ノームコア」を知る10の習慣
  • 東大生だけが知っている「ノームコア」の活用法
  • 「ノームコア」は本当に、未来を豊かにするか?

企画書のページの見出しにこの言葉があると、なんだか「ノームコア」が気になってきそうです。重要な点は「聞き手と同じスタンスで疑問を解決していくということ」だと紹介されていました。書籍タイトルを活用することで、自然とそのポイントを押さえられるのでしょう。

ちなみに「ノームコア」とは「究極の普通」と訳されるファッション用語だそうで、スティーブ・ジョブズの恰好のようなことを指すそうです。

スティーブ・ジョブズといえば、スタンフォード大学の卒業式のスピーチが有名ですよね。


スティーブ・ジョブス スタンフォード大学卒業式辞 日本語字幕版

「ストーリーテリング」というスピーチテクニックだそうなのですが、小西さんが紹介されている「スピーチメモ」もそれに近い印象を受けました。

メモがすべてを解決する(…言い過ぎてる?)

読了して思ったことは「考えるとは書くこと」という言葉でした。

以前「マッキンゼー式ロジカルシンキング」を読んだときに、1分間で思いついたことをどんどん書き出すトレーニングが紹介されていたのですが、ここで示唆しているのは「ただボーっと考えているだけでは、なにも生まれない」ということでした。

文字として書き出すことで頭のなかが整理されますし、その文字からの連想で新たなアイデアも浮かび、考えがより一層深まっていくからです。アイデアには「書くこと」が必要不可欠。改めてそう思いました。

さて、今回このレビューを書かせていただくにあたり、紹介されていたメモ術をいろいろ試してみました。

すごいメモ。

愛用しているWorkFlowyフル活用。デジメモ術も鍛えていきたいところです。タイトルや見出しは、これでも「スピーチメモ」を参考に、書籍タイトル風にしたつもり。ポンコツですけどね…。

すごいメモ。

でも、Amazonの売り上げランキング上位のおもしろいタイトルを書き写すだけでも、参考になりました。

矢印メモをつかって頭の中の膨大な情報の整理にも挑戦しましたよ!

すごいメモ。

うーん、なかなか一朝一夕にはうまくいきませんね。

本の中でとても明快に、楽しく紹介してくださっているので、どのメモもいますぐ簡単にできそうに思えるんです。読んでいてわくわくしてきます。でも、いざ実践しようと思うとコツが要ることを実感しました。

でも、挑戦しなきゃ身に付きません。いちばん大切なのは「未来メモ」をつくっているのだという意識。すなわち、「未来の自分に向けて書き残すぞ」という意識です。ここだけはブラさないようにして、とにかく「書くべし!書くべし!」の姿勢で、これからもメモをとっていきたいと思います。

読んで損なし、何度も読み返したくなる本でした。

 

最近こんなものも楽しみました