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言いたいことやまやまです

自意識過剰な三十路OLの言いたくても言えないこといろいろ(食ネタ多めで)。

どこよりも初心者にやさしい寄席「渋谷らくご」 でときめきを手に入れた!

レビュー-落語 レビュー

ドラマ「タイガー&ドラゴン」などで注目を集めた、落語。
生で見てみたい、と思いつつも、きっかけがなく足を運ぶ機会を逸している方も多いのではないだろうか。

そんな方にぜひともおすすめしたいのが、昨年11月に誕生した落語会「渋谷らくご」。
そして私は、この落語会をぜひとも「追っかけ気質の女性」にイチオシしたい!

渋谷らくごとは

寄席のない渋谷に誕生した定期落語会で、渋谷Bunkamura近くにある劇場「ユーロライブ」で毎月第2金曜日から火曜日まで開催されている。

寄席というと、新宿末廣亭や上野鈴本演芸場、浅草演芸ホールなど、

www.pen-online.jp

・・・こんな会場をイメージしてしまうし、それが事実なのだが、この見た目も初心者にはハードルのひとつ。さらには、チケットってどう買うの?席って自由なの?木戸銭?なにそれ?何時間あるの?そんな小さな悩みがマキビシのようにじわじわと初心者の心を攻め立て、寄席が遠い存在になっていくのだ。

その点、ユーロライブは映画館としても使われている会場なので、敷居の低さこの上なし。緊張ゼロ。公演時間はプログラムによって1時間もしくは2時間、料金は前者1,200円、後者2,500円という明快ぶり。

「若い人でも気軽に落語を楽しめる場所にします!」
「はじめての人でもフラっと入って楽しめる落語会を作ります!」

をマニフェストに掲げている会だけあって、「環境」に気をとられることなく落語を楽しむことができる。

初心者に開かれた空間であることに加え、「才気あふれる二つ目と若手真打が集結」している落語会であるというのも特徴的で、大きな魅力。
これから台頭してくる若手噺家さんたちが活躍していく様を、目の当たりにできるのだから。

 

私の寄席デビューは苦かった

初めて落語を観たのは昨年のこと、新宿末亭の寄席だった。
「趣味は寄席に行くことです」って言ってみたいなァ・・・という不純な動機であった。
落語ファンの先輩に連れられて行ってみたはいいが、会場の雰囲気に興奮したのはものの数分のこと。
目の前で、名も知らぬ噺家さんが、ちょっとよくわからない言葉で話している(古典落語だったので)。何人も出てくる。これは一体何時に終わるんだ。たまに手品師が出てくる。女性が歌いだした。なんなんだ。
会場のところどころでワッハッハとわかりやすい笑い声が聞こえるが、え、今のは笑うところだったの?あ、あれ?いまのはオチだったの?どうしよう、わからなかったぞ・・・これじゃ口が裂けても文学部卒業したなんて言えないよ・・・。

そうした具合で、とにかくひたすらに、楽しみ方がわからなかった。

終始集中することができず、思い出に残ったのは、客席で食べた伊勢丹の弁当がうまかったことと、失敗ばかりのおじいちゃん曲芸師さんの勇姿のみ。

同時に、日頃の情報取得の手段がテレビや動画サイトといった「テロップが氾濫する画面」ばかりで、自分の想像力が欠如していることを実感した時間でもあった。

帰宅後、私は不勉強な自分を反省した。
もっと、落語について勉強してから行かなければならなかったのだ。「落語の楽しみ方」的な本を買った。読み込んでリベンジに燃えるはずだったのだが、本を読んでもいまひとつ楽しみ方はわからないまま。落語とのご縁がない日々が数か月続いたのだった。

 

Podcastの「まくら」で、噺家さんがぐっと身近な存在に

渋谷らくごは、Podcast番組を毎週配信している。
ここで配信されているのは落語の本題ではなく、そこに至るまでの導入トーク、「まくら」。自己紹介や最近のおもしろ事件、はたまた本題の時代背景や用語解説など、いわば「噺家さんがお客さんを惹き付けるためのフリートークコーナー」だ。

たまたま知って聞き始めてみたのだが、そこで披露されていたのは近所のファミレスのドリンクバーの話に寝坊エピソード、青き春の暴走(族)列伝などなど。
わからない言葉はひとつもないし、さすが話芸のプロ、どの話ももれなくおもしろい。
毎週1人~2人の噺家さんのまくらが配信されているのだが、特筆すべきはオープニング&エンディングトークである。
渋谷らくごのキュレーター(管理人)で、Podcastでの司会役である学者芸人・サンキュータツオさんが、その噺家さんのミニ情報を紹介してくれるのだ。
タツオさんご自身が長きにわたり落語を愛好されているということで、噺家さんの特徴や魅力、師弟関係からプライベートでの一面に至るまで、寄席で落語を観るだけでは知り得ない話が聞けてしまう。その情報も、落語業界事情を知らずとも取っつきやすいものが多い!

「とにかくイケメン」「師弟愛がたまらない」「まもなく真打ちになる」・・・そんな情報と、まくらでの噺家さんたちのいい声と話しっぷりが掛け合わさったらもう、Podcastのなかにいる噺家さんは「知らない人」から「気になる人」「会いに行きたい人」になっている。

なんなら、この時点でちょっとファンになっている。
恋の導火線に火がついている。

 

噺家と書いて「座ったまま会えるアイドル」と読みたいくらいだ

私はついに「渋谷らくご」に行った。

お目当ては、春風亭昇々さん。
春風亭昇太さんのお弟子さんである二つ目の彼は、イケメンである。

それだけでも気になるところだが、Podcastから十分、十二分に伝わってくるヘンテコリンな雰囲気に惹きこまれ、とにかく本物を見てみないと気が済まなくなった。
気になって落語芸術協会のプロフィールを見たら、みなさんの淡々とした自己紹介が並ぶなか、保有資格欄に堂々と「英検4級」「自動車免許(AT限定)」などと書いてあった。ツッコんだら負けな気がする。こんなところにまでトラップを仕込んでいるとは・・・。

「また“よくわからなかった”という感想で終わったらどうしよう」という不安もあり端の方で観ていたのだが、動く昇々さんは格好良くてときめいた。
でもとても変で、まくらで、ところどころ声を裏返しながら披露されたエピソード(たしか、知らないおじさんと温泉旅行に行った話)にぶったまげ、本題の創作落語も設定がヘンテコリンでたまげたのだが、気づけば登場人物にちょっと感情移入していた。かっこいいなあとニヤニヤして、おもしろいなあと笑って、あっという間の30分だった。

1年前に寄席に行ったときの、ぽかんとした気持ちはなんだったのか。

その日は他にも3人の噺家さんが登壇されたのだが、事前に公式WEBサイトおよび当日配布される読み物に「見どころ」が紹介されているからか、それぞれのスタイルの違いが興味深く、見入ってしまった。誰が登壇され、どんな魅力があるのか、という小さな切り口が提示されているだけで、こんなに楽しみやすくなるなんて。それになにより、芸を極める方の姿には実にときめかされる。

この場で新たに出会った噺家さんがPodcastで紹介されていると「オッ」と思うし、タツオさんのミニ情報が加わると、またしても「気になる人」化してしまう。
毎月行われている落語会ということで、翌月再び足を運んだ際に前月出会った噺家さんが登壇されていると、どことなく応援心が湧くというか、これまたやっぱり「気になる人」化してしまうのだ。

登壇される方が「二つ目と若手真打」というのもポイントなのかもしれない。
「デビュー間近のジャニーズJr.」と「若手ジャニーズグループ(Kis-My-Ft2的な)」だったり、「いま特撮ヒーローを演じている俳優さん」と「特撮出身の若手俳優(福士蒼太くん的な)」を応援する気持ちに似たときめきを感じるのだ。その姿を追いかけていきたいという母性本能がくすぐられるというか・・・。
同世代の方も多く登壇されるので、「私もがんばらなきゃいけないよなあ」と刺激ももらえる。
(かと思うと「東山紀之さん」「オダギリジョーさん」的な方も現れる。大御所の技に圧倒されるのもまた、ぜいたくな時間である)

Podcastを聞いて、渋谷らくごに足を運んで、「作法や形式にとらわれず、好きなように楽しめばいいんだ」と思うようになった。

落語の魅力は話の内容ではなく、「噺家さんの話しっぷり」
どんなに本で落語の魅力を学ぼうとしても、こればかりは自分で見聞きしなければわからない。

噺家さんに思い入れを持って、ときめいて、キュンとして、ファンになって、また落語を観に行く。
かつてアイドルやバンドマンを追いかけていたときと同じだ!
アイドルと握手するときも、バンドのライブを観に行くときも「立ち」だったのに、噺家さんの落語は「座ったまま」楽しんでいいとは・・・なんてすばらしいシステムだろう!!!
ライブ会場でアイドルたちとのコールアンドレスポンスでがんばったように、声が枯れるまで「アンコール!」と叫んだように、落語の会場では遠慮せず声を出して笑えばよいのだ。
ジェットコースターは大きな声で叫ぶとより楽しくなると言うが、なるほど、声を出して笑うと、より一層楽しい気持ちになってくる。
1年前の寄席で、笑い声をあげている人たちを怪訝そうに見つめてしまった過去の自分を恥じるばかりだ。

落語、楽しい!

そういうわけで私の実体験に基づき、「追っかけ」していた過去を抱えつつも「さすがもう、追っかけするって歳でもないしネ・・・」なんてお思いの女性陣に、渋谷らくごをおすすめしたいのだ。

 

渋谷らくごに行ってみるなら

早速Podcastの「まくら」を聞いてみたい!という方は「渋谷らくご」で検索を。

Podcastって何?でも気になる、という方はWEBサイト上からでもお楽しみいただけるようなので、ぜひアクセスを。

shiburaku.seesaa.net


実際に足を運ぶ場合、渋谷駅から会場まで15分くらいはかかると思った方がよいだろう。さすが渋谷。超混んでいる。そして、変則的に歩く方々のスキマを縫って歩くのは大変な技術を要する。

Bunkamura方面に向かい、

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ドンキホーテを通り過ぎてずんずんまっすぐ進み、

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右手にファミリーマート、左手にラーメン屋さんが見えたところで左折。

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ひときわ目立つ、コンクリート打ちっぱなしでかっこいい建物が、会場のユーロライブである。

チケットは事前にWEB上で購入することもできるが、社会人にもなると、当日の予定なんてその時間になってみないとわからないもの。
開演1時間前から当日券が販売されるので、当日の予定次第でふらっと立ち寄り、当日券を買って楽しむのがおすすめだ。

会場内でのゴハンはNGなので、ご注意を。

eurolive.jp

※もっと簡単に行く方法を教えていただきました!(りくさんありがとうございます!)

 

実は今日、13日(火)もやっている!

10月の渋谷らくご最終日が、ほかならぬ今日。
18時からは、隅田川馬石師匠、入船亭扇辰師匠による、持ち時間30分ずつの「ふたりらくご」。
20時からは、噺家さん5名による創作らくごお披露目の回「しゃべっちゃいなよ」。

私は今月足を運んだことで隅田川馬石師匠に出会うことができたのだが、そのチャーミングな語り口と演技にすっかり魅了されてしまった。登場人物がみな愛おしくなってくる!

家でYouTubeの落語協会チャンネルで馬石師匠の「時そば」の映像を見て、ときめいて・・・うわあああ会社勤めさえなければ18時からの回に絶対に行くのに!行ける人が羨ましい!

1回目より2回目、2回目より3回目・・・と、行く回数が増えるごとに楽しみが増している実感がある。
来月の渋谷らくごは1周年記念のプログラムだとか。いまからとても楽しみである。

 

落語入門

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