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言いたいことやまやまです

自意識過剰な三十路OLの言いたくても言えないこといろいろ(食ネタ多めで)。

写経でGO 【中編】

レビュー‐イベント レビュー

人生初の写経体験。

前編では、写経開始までの独特な儀式についてご紹介しました。

中編となる今回、ついに写経実践です。

前後編のつもりが、生意気にも前中後編となってしまいました。

お付き合いいただけましたら幸いです。

 

写経でGO 【前編】 - 言いたいことやまやまです

 

 

■写経、はじまる

 

DJ OSHOとオーディエンスで般若心経を展開し終えると、ついに写経が始まった。
住職の説法の間、散々眠りこけていたマダムは一心不乱に墨を擦りはじめている。
別人のようで怖い。

写経セットの内容は、

 

・厚紙に書かれているお手本(みんなで読んだ般若心経)
・その上に乗せる半紙
・書道用具一式(水、墨、硯、小筆、もっと小筆、クリップ×2)

 

である。

 

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お経をなぞるだけなら簡単、と思われるが、こういうものこそ最初が肝心要なのだ。
罫線がうすく引かれている半紙を、うまい塩梅でお手本に乗せ、さらにそれをうまく固定するところから勝負は始まる。

 

そのはずなのだが・・・文鎮が、ない。

 

よもや私にだけ、修行と称してこのような嫌がらせが為されているのではないか。
どうしよう、と思って隣人たちを見やれば、彼らにも文鎮の用意はされていなかった。
そこで役立つ、「一心不乱・墨擦りマダム」である。
彼女は常連のようで、書道用具一式の中に不自然に入っていたクリップ2つを用い、お手本と半紙をまとめていた。
なるほど、そうするのか。目から鱗である。

 

写経初体験の友となった隣席の若い男性はというと、さっさと墨を擦って、いざ書き始めようという体制に移っている。
いかん、それじゃ駄目だッ!

 

「クリップ、クリップです」

 

静まり返る大広間で必死に伝えると、彼もなるほどといった表情で厚紙と半紙をクリップで重ね合わせてくれた。
青年を救うことができ、なによりである。

入念に文字の位置を確認し、クリップで留め、私もいよいよ写経のときを迎えた。

スタートはとんでもなく出遅れたが、これでいい。

この差が最後に違いを生むのだ。

 

 

■心穏やかに・・・

 

小筆の先に墨をつけ、いざ、入魂。

 

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(アッ!しまった!)

 

気合いを入れて手本の文字をなぞったのだが、筆づかいに慣れておらずポッテリとした字に。
最初が大事だというのに、こんな文字でとても悲しい。
もっと繊細で、トメとハライがシャシャーッという感じの、華奢ながら勢いのある字を書きたかったのだ。

 

絶望に暮れながらも、「訶」でリハビリし、「般」で少し要領をつかむ。
しかし1行目にして気合いが切れてしまい、ラスト3文字の雑さたるや、ひどい。なにが入魂だ。

 

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※1行目のすべて

 

いや、ここでめげては駄目だ。

気持ちも新たに筆に墨をつけ、2行目に入る。
じっくり、じっくりと心を落ち着けて書き進め、3行目、4行目・・・に至ったところで突如周囲の動向が気になった。

 

例のマダムを見てみれば、もう写経終盤に差し掛かっている。さすが、早い。

行数は全体で17行。
私がチンタラと4行目を終えようとしているなか、写経初体験の青年を見やれば、彼はもう7~8行目である。

 

これはどうも、やばい。

 

私を包んでいた静寂は見事にかき乱され、一気に鼓動のペースが早まった。
先生が、「終わった奴から昼休みなー」と言いながら配った算数のミニテストが思い出される。
算数が苦手で時間がかかるうえ、みんな昼休み目当てに猛スピードで仕上げて提出していくので、とにかく焦るのだ。


焦って焦って、ええと、5たす8で13・・・あれ、12だっけか、なんて、とんでもないミスをしでかしながら憔悴しきって提出し、テスト返却日にも憂鬱に見舞われるという最悪のイベントだった。

あのときと同じ胸のざわつきを感じる。
とにかく早く書いてしまおうと思った。

 

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行が変わると少し気合いが入るのだが、すぐにドキドキして字が歪んでいってしまう。

行の後半に行けばいくほど、字が雑になる様をご覧いただきたい。


そんなフラフラの字を書きながら、自問自答した。

 

いいのか、これで?

 

お釈迦様は自我をなくせと言っていたではないか。
最後の1人になったって、それを恥ずかしいと思ってしまうのは自我の強さゆえ。


そうか・・・その修行なのか、写経!
我、真理を得たり。

 

 

■今度こそ、心穏やかに・・・

 

仏の教えにより再び心に落ち着きを取り戻し、どんどん書き進めていく。
焦りがなくなったおかげで自然とスピードが出てきて、筆が乗ってきた。
いいぞ、いいぞ。

 

そんな私をよそに、周囲の人々は筆をおき、椅子をひき、立ち上がり、書き上げた写経用紙を前方の奉納箱に納め、帰っていく。
写経をしたら半紙の最後にお願いごと(あれば)と自らの住所と名前を書き、お寺に納める流れなのである。

 

私には、お願いごとを考える暇などない。
ただ一心不乱に筆を動かす。とりあえず書ききる。
いや、書ききることこそが今の願い・・・。

 

自我を捨て、無の境地で写経に勤しんでいたものの、周囲の筆をカタリと置く音や、椅子を引くキュッという音に、少しずつ平常心が蝕まれていく。

 

焦るな、焦るな、無の境地、無の境地・・・
自分に言い聞かせながら筆を運んでいたのだが、ついに隣席の青年もフィニッシュを迎え、平常心は喪失した。

 

・・・だ、だめだ、スピード優先!

 

美しさは二の次、とにかく書ききることを目標に筆を走らせる。
なにが「心に落ち着きを得るために写経がおすすめ」だ!

ハナコもアンアンも嘘つきだ!


こんなにも心穏やかでない時間は久々であった。

 

***

 

明日の最終回はラストスパートの様をお届けします。

もしご興味があれば、アクセスのほど、よろしくお願いします。