言いたいことやまやまです

自意識過剰なアラサーOLの言いたくても言えないこといろいろ(食ネタ多めで)。

沖縄の山羊料理店「さかえ」で過ごしたおいしくてうれしい時間

沖縄料理の名物のひとつに山羊料理がある。
滋養のある食べ物として昔から愛され続けており、祝い事の場などでも重宝されるらしい。
煮る、焼くのみならず、生のままいただく「山羊刺し」もポピュラーだとか。
その独特な香りゆえ、現地の方でも不得手とする声は少なくないようだが、せっかく沖縄に行くなら、その山羊文化を味わってみたい。

昭和46年創業「さかえ」さんに行く

「沖縄 山羊料理」とGoogle検索をすると、いちばんに出てくるのが「山羊料理さかえ」さんだった。場所は那覇市牧志駅近く。有名な市場のあるところか。

「食べログ」でも「Retty」でも大絶賛の嵐、新書「明日の広告」やグルメエッセイで著名な佐藤尚之(さとなお)さんもお気に入りのお店で、吉田類さんの「酒場放浪記」にも登場済。

臭くて癖があるとされる肉にもかかわらず、こちらでいただく山羊肉は新鮮でとても食べやすいとされている。

人気の秘密はそれだけではなく、お店を切り盛りする「ねーねー」の温かいお人柄にある様子。

カウンター席中心の小さなお店は常連客で賑わい、平日でも混み合っているというが、なんとしてでも行かなければ気が済まない。

予約をしたかったところだが、いろいろなレビュー記事を拝読していると、どうも予約不可のようだった。

厚かましく電話してみればよかったのだが、「個人で経営されているお店だし、きっとお忙しいだろうし、お一人で切り盛りしているっぽいし、私ごときの電話でご迷惑をおかけするわけにはいかない・・・」

と躊躇してしまい、予約はせず、

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14時50分に現地イン。

開店時間15時を待ち受けることにしたのだった。

はじまりは親子ゲンカから

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15時を回ったところで、古めかしいお店の戸が開いた。

時は来た!

喜び勇んで、戸を開けたおばあちゃんの元に駆け寄ると、私のうしろの方から「待って、待って」の声。

振り返ると、両手に買い出し食材をたっぷり抱えた女将さんらしき方の姿が。

この方が噂の「ねーねー」か!

「ごめんね、すぐ準備するからもうちょっとだけ待っててね」

すまなそうな声のねーねー。

「いや、こちらこそすみません、大丈夫で・・・」

「いいじゃない入ってもらって!!」

謝り合う我々の声を遮る大きな声。その主は、戸を開けたおばあちゃんだった。

「いいのよ、入ってもらって」とニッコリ。

「お母さんだめよ、準備がまだできてないでしょ!」

お母さんのウェルカム態勢と、それを制するねーねーのやりとりが2〜3往復し、最終的にはねーねーが力ずくでお母さんを店内に引き込んだのだった。

「ごめんね!すぐ準備するからね!」

申し訳なさそうな声を私たちに残し、ねーねーがお店に入り戸が再び閉められた途端、母娘ゲンカと思しき声が聞こえてきた。

平日、15時、絶好のお天気に恵まれた静かな商店街に響く口喧嘩の声・・・

の、のどかだなあ。

パリーン!と皿の割れる音がしたような気が、する。(気がしただけ)

神よ、私の罪深さをお許しくださいますか。

空に向かって懺悔していると、

「おまたせ!どうぞー!」

けろりとした笑顔のねーねーに出迎えられたのだった。

「ほんと、ごめんねえ」

年季の入った、カウンター数席と小上がりで構成された店内だった。

「いや、こちらこそ急かしちゃって・・・すみませんでした」

カウンターに腰掛けながらそう言うと、

「すみませんなんてことはない!来てくれてありがとう!

そう制された。

入店してものの数分で、ぐっと心が鷲掴みにされてしまう。

「さ、何にしようか!」

カウンターのなかからにこにことオーダーを聞いてくれるねーねー。
人気だという泡盛をお願いした。ヤンバルクイナだったかな。
厨房にずらっと並ぶ琉球グラスは、好きなものを選ばせてもらえる。

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そういえば、お母さんはどうしたんだろう。
きょろきょろしていると、お店の奥からお皿を持ったお母さんが登場。
そこに盛られていたのは立派な茹で豚。

「さっきはごめんなさいね、これ、よかったら食べてね。サービス」

恥ずかしそうにそう言いながら、テーブルにそっと置いてくれた豚のおいしそうなこと。

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追いかけるように、「これも食べて!」とねーねーが盛ってくれた生野菜。

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どうしよう、大変に立派なお通しになってしまった。

振り向けばこの光景。

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最高だ。お酒もお料理もこの時間も、じっくり味わわなければもったいない。

沖縄料理というより「さかえ料理」

目の前に並ぶサービスおつまみで十分な気もするが、やっぱり山羊を食べなければ。

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残念ながらまだお肉屋さんから届いていないということで、ねーねーおすすめの「焼きヘチマ」をいただきながら待つことにした。

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「ウチ以外では食べられないから!」「おいしいから!」と自信満々に作ってくれた焼きヘチマが、こちら。

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ヘチマといえば、乾燥させて身体を洗う用途くらいしか思いつかなかったけれど、焼くとこうなるのか・・・。

トロッとした熱々のヘチマをハフハフ言いながらいただいた。
上顎が火傷してしまいそう。
醤油と生姜のシンプルな味付けがぴったりだ。

十分に堪能しているのだけど、ついつい、じーまーみ豆腐もいただいてしまった。

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ぷるぷる、うまい。

沖縄料理最高!

と思っているそばから、

「最近気に入ってドン・キホーテで買ってきたの」とプレゼントされたうまい棒(納豆味)

 「ちゃんとネバネバするんだから、すごいよねえ」

やおきんさんが泣いて喜ぶんじゃないかというくらい、ねーねー大絶賛。
久々に頬張った納豆うまい棒は妙においしかった。

そうこうしているうちにお肉屋さんが来て、お待ちかねの「山羊刺し」が登場。

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※うまい棒を皿に盛る必要はあったのだろうか

山羊刺し、けっこう分厚く切るんだなあ。
お肉の刺身というと、薄くスライスするイメージだったんだけど。

口に入れてから飲み込むまでに、それなりの咀嚼数が必要な噛みごたえ。
臭みがあったら我慢ならないはずだが、全然気にならない。
かといって無臭ということもなく、かすかな個性が感じられるからクセになる。

これはうまいぞ!

臭い山羊肉で作る「山羊鍋」は地獄の沙汰であると聞いたことがあるが、さかえさんだったら絶対おいしい。

しばらくするとお客さんがいらっしゃって(なんと静岡から!なのに常連さん)、ねーねーは島どうふの準備にかかった。

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※喫茶アメリカンの食パンかと思った

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※ブログで大きさ紹介して!とのことで比較用うまい棒も用意してくれた

切り落としたパンの耳ならぬ「豆腐の耳」をわけていただいたのだけど、水分の抜けたぎっしりとした食感は、豆腐ではなく、あくまでも「島どうふ」という食べ物にほかならない。

 

お別れが切なくて

食べて、とひたすら渡されるうまい棒(コーンポタージュ味)を頬張りながら、山羊刺しもいただき、泡盛も飲んで、常連さんも交えて無駄話。

ねーねーは歌うように「おいしいねえ、うれしいねえ」と言っていた。
おいしい料理はいろんなところで食べられる。
でも、うれしくなって、幸せになれる場所は限られている。
この日さかえさんに集った全員、笑顔がこぼれていた。

その日は東京に帰る日で、あっという間に搭乗時刻が迫ってしまった。
山羊料理、もっといろいろ食べてみたかったな。
でもお腹がいっぱいになって、思い出が無に帰すような事態になることは避けなければ。
おどろくほど良心的な価格のお会計を済ませ、お店を出ると、ねーねーが「帰りに食べて!」とさんぴん茶とうまい棒(いっぱい)を手渡してくれた。

ものの2時間くらいだったのに、なんだか離れがたくてキュンとしてしまう。

他の山羊料理をいただくためにも、ねーねーに、お母さんに会うために、また沖縄に来よう。

そりゃ、静岡からちょくちょく来てしまう気持ちもわかるよ。
おいしくて幸せな時間をごちそうさまでした。

 

お店情報と今回の反省

開店時間前の「入り待ち」はもうやめよう。

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沖縄やぎ地獄 角川文庫

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