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言いたいことやまやまです

自意識過剰な三十路OLの言いたくても言えないこといろいろ(食ネタ多めで)。

デニーズよ、おまえもか

1974年に1号店をオープンした当時からの接客手法を見直すことが5日、分かった。客席を回ってコーヒーをつぐなどの「フルサービス」が競合他社との大きな違いだったが、今後1年程度かけて基本的に全店舗にセルフ式のドリンクバーを導入する。

※引用元:デニーズが「フルサービス」見直し セルフのドリンクバー全店導入へ - 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)

「ジョナサン」「サイゼリヤ」「ガスト」などなどファミリーレストランは数あれど、そのなかで「ドリンクバー」を導入していなかった「デニーズ」が、ついにセルフ式マシンを導入するらしい。

すでに店舗改装済みの一部店舗には設置がなされており、カウンター席を取り払うなどして、スペースを設けているそうだ。

…ということを日経MJを読んでいて知ったのだけど、それはそれはさみしくて、カエサルが「お前もか」とつぶやいたときの喪失感1%分くらいの気持ちになった。

デニーズといえば「おかわりコーヒー」である。2017年現在、1杯で税込235円。1回頼めば何度でもおかわりを注いでくれる。アルバイトさんによってはもう、わんこそばかと思うほどの勢いでおかわりを注いでくれる。サービス満点だ。

そのお得感の一方で「みんな大好きドリンクバー」がないことも特徴であった。コーヒーが苦手な方やキッズにとっては、これがデニーズ以外の選択肢を選ぶ理由になっていたかもしれない。いま、どこに行ったってドリンクバーがあるんだもの。ジョナサンのホットティー専用カップを初めて見たときの衝撃と感動といったらなかった。サイゼリヤが「サイダー」じゃなくて「炭酸水」をマシンにセットしていることを知ったとき、「考案者呼んでくれる?」と言いたいくらいには感激した(炭酸水にレモンティー用のレモンを入れて飲むとうまい)。ドリンクバー最高、ドリンクバー万歳。

その脇で、デニーズだってデニーズなりにがんばっていた時代があった。ソフトドリンクや紅茶を含む数種類のドリンクが飲み放題。マシンは厨房内にあるので、オーダー式でのドリンクバーだった。大好きな「赤いハーブティー」がめいっぱい飲めたのは、うれしかったねえ。謎の「梅ソーダ」みたいなのがあった気がする。グラスがやたら小さい割にストローが長くて、そのチグハグ感が微笑ましかった。そんなデニーズ式ドリンクバー、マンパワー不足に繋がってしまったのだと思うが、割とすぐに終了。おかわりできるのはホットコーヒーのみという、当初のやり方にいつの間にか回帰していた。

デニーズという「ファミレス原体験」

提供されるおかわりドリンクがコーヒーのみであろうと、そうでなかろうと、どうでもいいのだ。「セルフ式マシン」になる点がさみしくて、さみしくて。人手不足のこの時代、その流れはあまりに自然だし、デニーズファンとしては店舗数が減ってしまうことのほうが心配なので大いに結構な改革なのだけど、虚しさは残る。

私にとっての「ファミリーレストラン原体験」はデニーズなのだ。

「いらっしゃいませ、デニーズへようこそ」に始まり、オレンジ色で「Denny's」とエンボス加工されたおしぼりが、茶色いクリアタイプのおしぼりトレイに乗せられてやって来る。オーダー後、おしぼりでひとしきり遊んで料理の到着を待つ(たいがい、”キャンディ”を折ってつくる)。私の両親は外食時にソフトドリンクやデザートは頼んでくれなかったので、ああ、いつかデビルズサンデーが食べたいと思いながら食事をするのである。別の家庭と外食をして、そこんちの子がコーラなど頼んでいようものなら、すげえリッチな家庭だなと思っていたもんな。それでもって、最後の砦はレジ前のチャチイおもちゃ群。ああ、ほしかった。ほしすぎて、キーホルダーになってるテトリスをうっかり買ってしまったことがある。どこいったかね、あれ。久々にやりたいな…。

そういえば、おしぼりが使い捨てウェットティッシュに変わったのはいつごろだったか。でも、他所よりフカフカとしたリッチタイプであるところに、デニーズの気概、スタイルを感じる。好き、デニーズ。

社会人になって、ひとりぐらしを始めてからも散々お世話になったデニーズ。とりわけ、朝がいい。自宅から最寄りのデニーズには駐車場が併設されていたから、タクシーの運転手さんがよく来店していた。喫煙スペースにあるカウンター席に腰かけ、コーヒーをすすりながら新聞を読むのだ。ウェイター&ウェイトレスさんたちは常連さんをしっかり覚えており、2,3言の会話を交わす。運転手さんたちは長居せず、サッと朝食を食べて去っていくのだ。これが私にとっての「朝のファミリーレストラン」の姿だった。ああ、憧れのカウンター席。でもそのスペースは近々撤廃され、マシンがその場にそびえ立つのだ。

正直言って、デニーズコーヒーはたいしておいしくない。ときに煮詰まり気味だった。カップの中に半分くらい残っている状況で「改めて呼び止めるのが面倒だから」と、すぐ近くにいるコーヒーお姉さんにおかわりを注いでもらうと、いつまでもダラダラとカップのなかのコーヒーがぬるくて後悔したことも、多々。そういうときに限って、意外とすぐ後に2度目のおかわり巡回があったりして、ああ、待っておけばよかったと、人生いそがば回れ的な学びも得られたコーヒーであったなあ。それは言いすぎか。

その点、このたび導入されるというセブンカフェはうまい。少なくとも煮詰まっていない。マンパワー節約の意味でも、味の意味でも、マシン導入は正解だろう。でも、デニーズがまとっていた「ファミリーレストラン感」は半減してしまう、きっと。

「コーヒーのおかわり、いかがですか」「お願いします」

レストラン感、すなわち「もてなされている心地」は、この会話ひとつによって生み出されていたのかもしれないな、と思う。

飲み物が足りなくなったら、自分で、好きなものを好きなだけ注ぎに行く。なんと画期的なことか。そのうち居酒屋チェーン店のように、ファミレスでもリモコン注文をするのが当たり前になるんじゃなかろうか。やよい軒だってタッチパネルが導入されていたぞ。それが今のファミリーレストラン像なのだ。私のなかのイメージは「あの頃のファミレス」でしかない。

…こんな調子で、デニーズの変化に一抹の寂しさを感じてしまう私はもう立派な「ババア大人」だということですね。これが時の流れ。これが時代。これが。デパートのレストランフロアに憧れていた世代のみなさん、そのお気持ち、わずかながら察せるようになりました。

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